ある女の子の楽しい思い出

アトリエでじっくりとものづくりをしていた、いっちゃん

 

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画用紙で切った花びらを積み重ねてお花を作っていました。「先生も一緒に作ろ」と誘われたので一緒に作ることに。

花びらを紙で書いて切り取って花の形を作ります。茎は小枝をポキっと折って、花につけます。 花と茎の接続部分は梱包材です。

「今度はこの色にしようかなぁ」と切ったり、貼ったり、塗ったりしながら2人でゆったりと作っていました。

 

自然物(小枝)と画用紙が上手く組み合わさって素敵だなぁと思っていたら、

ふと唐突にいっちゃんが、

 

「先生は幼稚園で楽しかった思い出ある?」と聞いてきました。

 

私は久しぶりに昔の幼稚園生活を思い出しながら

「楽しかったこと?うーん、、、、先生はサッカーかなぁ」と答えると、

 

いっちゃんは

「私はね、 ひなちゃんと一緒にいられて良かった」と優しい声で話してくれました。

 

私は思わず胸を打たれて「そっかぁ、そうなんだねぇ。。。」と深く頷くと、

 

いっちゃんは続けて

「ひなちゃんがいたから幼稚園が楽しかったんだ、ひなちゃんと一緒だと嬉しくなるんだよ」と、

 

 あまりの素敵なメッセージに私は暖かい春の風が全身を駆け抜けたように爽やかな気持ちになり、「そうなんだね。」とまた深く相づちを打ちました。

 

実はひなちゃんは同じ空間にいて絵を描いていました。なのでその時「ん、なーに私のことなんか話してる?」とちょっとだけこちらの方に顔を向けましたが、またすぐに絵を描きはじめました。

 

 

いっちゃんにとっての思い出は、「何をしたか」ではありませんでした。大好きな友達という存在自体が思い出になっていました。

 

いっちゃんにとってひなちゃんは安心できるとても居心地の良い関係で、一緒にいる時間と空間は特別なものだったのでしょう。

 

 

思い出は目を閉じると情景が浮かんでくるもの、いっちゃんにとってひなちゃんは目を閉じるとそばにいてくれる存在、なんでしょうね。

 

 

「心は繋がっている」

 

静かなアトリエの空間で子どもに大切な事を教えてもらった朝でした。