いざこざを前向きに捉える 関わる力の育ち

今年度はコロナウイルス感染症予防のため、愛泉こども園では様々な行事が中止となりました。特に当園は定員315名の大規模園なため、行事を分散して行うのも難しく、新しい生活様式に合わせた行事のあり方を考えている所です。

 

そのよう中で保護者の皆様に子ども達の普段の様子を見て頂けたらと思い、この度、動画配信による保育参観を行いました。

動画をご覧になった保護者の皆様から沢山の子どもの育ちに対する暖かい言葉を頂き共に成長を喜び合える機会を作れたのではないかと思っております。

 

しかし、動画配信の中で一つだけ、どのクラスにも共通して映すことができなかった場面がありました。

それはいざこざの場面です。決していざこざが多いわけではありませんが、友達同士の関わりの中で、イメージや思いのすれ違いでいざこざが起こることは珍しくありません。

 

いざこざは、当人同士はあまり良い気持ちをしてないでしょうし、側から見ていてもポジティブに捉えることが難しい場面ではあります。なので保護者の皆様にもしかしたら誤解や不安を与えてしまうのではないかと思い、いざこざ場面は公開しませんでした。

 

ですが、園生活のいざこざは子ども達が関わる力を育む上でとても大事だと考えています。

 

いざこざを通して友達は自分とは違う思いや考えを持った他者であることに気づいていきます。

また自己主張のぶつかり合う場面では、保育者が両者の思いを聞きながら仲立ちしていくことで折り合いをつけたり、譲ったりすることができるようになり、自己発揮と自己抑制の調和のとれた発達を促すことができます。

決まりやルールを自分たちで考える機会にもなりますね。

 

子ども達のいざこざはお互いが納得するには時間がかかることもあり、本質的には大人の世界のトラブルと同じレベルだと思います。

 

例えば、年長組の女の子達だけで鬼ごっこをしていた時のことです。

男の子2人が「入―れて」とAちゃんに言いました。

Aちゃんは「いいよ」と言って入れてあげます。

しかし、鬼をしていたBちゃんは男の子達には入って欲しくありませんでした。

なので、「なんで入るの!」と問い詰めました。

するとAちゃんが「いいんだよ!」と声を張り上げます。

Bちゃんはもう一度男の子達に「なんで入るの!」と言います。(男の子は気楽でもう逃げていました。)

Aちゃんは近くに詰め寄って「いいんだよ!鬼ごっこなんだから!」と言います。

Bちゃんは「なんで急に怒るのよ!」と言い返し、少し怒りながらも男の子達を追いかけていきました。

 

BちゃんはAちゃんの意見に理解はしつつも、感情としては収まりがつかなかったのでしょう。だから「なんで急に怒るのよ!」といったのかもしれません。

 

私たちもトラブルの中で相手の言っていることは正論ではあるけれど、感情として納得できないということはありませんか?

 

Bちゃんは鬼だったので捕まえる人数が増えるのが嫌だったのかもしれないし、単に男の子に入って欲しくなかったのかもしれません。勝手に入れたのが嫌だった可能性もあります。

それでも鬼ごっこをしたかったからそのまま続けたのでしょう。その後は鬼ごっこをみんなで仲良く続けて遊んでいました。

 

このようにいざこざは自己を抑制する機会にもなります。次に鬼ごっこをする時は途中で入ってきた子はどうするのか話し合いをするかもしれません。

 

これからもいざこざがあれば、子ども達の発達を捉えながら、それぞれの子ども達の主張や思いを受け止めて、互いの思いが伝わるようにしたり、納得して気持ちが立て直す事ができるようにしていきたいと思います。

 

いざこざを成長のきっかけと捉えながら、みんなが仲良く園生活を送れるようにしていきたいと考えています。